よくあるご質問

専門的なご質問

お客様から寄せられましたご質問の中で頻度の高いものを選んで、当社の考え方を掲載しました。
ご参考にしていただき、適正なねじのご使用にお役立てください。


電食について

電食とは、「異種金属接触腐食」のことです。腐食は異なる種類の金属が物理的、電気的に接触し、異なる金属同士が水などの電解質に浸された場合(いわゆる電池が形成された状態)、電位が低い方(イオン化傾向の高い方)の金属が腐食する現象です。

電食の起こりやすい条件例

1)異なる金属同士の電位差が大きい場合
2)低電位側の面積が小さい場合
3)水や海水など電解質の浸食性が強い場合
4)高温、多湿の場合

電食防止の観点から見たねじの使用方法

○ ガルバ鋼板とステンレスねじの使用
ガルバ鋼板とステンレスねじの組み合わせは異種金属の許容範囲外ですが、実際にはガルバ鋼板の面積が圧倒的に広いので腐食進行度は極めて小さく、使用可能です。

○ アルミ材にステンレスねじの使用
アルミニウムとステンレスねじの組み合わせは異種金属の許容範囲外ですが、実際にはアルミ材の面積が圧倒的に広いので腐食進行度は極めて小さく、使用可能です。また、アルミニウムとオーステナイト系ステンレスの組合せは電位差が大きいにもかかわらず、分極と呼ばれる作用により電気の流れが阻止されて電食が少なくなることが知られています。最近ではアルミ材にSUS-XM7製のねじがよく使われるようになりました。

× ステンレス材に鋼製ねじの使用
ねじのめっきなどの下地に使われている亜鉛とステンレスの電位差は大きく、また亜鉛(低電位側)の面積が極端に小さくなるのでねじの腐食が加速します。ステンレス材に鋼製ねじの使用はお奨めできません。

水素脆弱について

水素脆性とは、めっき工程、または現場工事施工後に水素が鋼の内部に侵入し、金属本来の強度や靭性を劣化させてしまう現象です。水素脆性によってねじの頭飛びや破断などが起こる場合があり、これらの破壊はねじ締め直後、あるいはある一定時間経過後に突然起こるので"遅れ破壊"と呼ばれています。

水素が侵入する原因とその対策

■めっき工程
めっき前処理の酸洗い工程で水素が発生し金属内に侵入します。めっきによる"遅れ破壊"の発生時期はねじ締付後、比較的短時間(200時間以内)で発生します。当社では対策として

1)酸洗い工程での酸濃度管理(酸を濃くしない)
2)酸洗い工程での水素の侵入を防止する薬品(インヒビター) の使用
3)侵入した水素を除去するため、ベーキング工程を採用(180 〜200℃で6時間加熱処理)

以上3点を行い、製造工程が原因の水素脆性を予防しています。

■施工後
使用環境での酸性腐食等により水素が侵入して発生する水素脆性は、"後脆性"と呼ばれ、この後脆性によって"遅れ破壊"が発生するのは数年後になる場合もあります。過去に発生したクレームについて事例を次にあげてみました。

・野地板の接着剤に塩素が含まれており、雨水で溶け出し、リーマフレキ(ユニクロ)が腐食しねじ部が破断。
・海水や水のかかる状態でSUS410(パシペート)を使用し腐食、このためねじ部が破断。
・牛舎、ウサギ小屋で糞により腐食し、ねじ部が破断。
・水産加工場で塩素消毒剤により腐食し、ねじ部が破断。
・融雪剤により腐食し、ねじ部が破断。

この様な特殊環境でのねじの使用については、あらかじめ耐食性について配慮された特殊使用のねじが必要となります。詳しくは最寄りの弊社営業所へお問合せください。


ヤマヒロ製品の保証書について

当社は製品に対する保証として次の書類を用意しています。

材料である鋼材の検査証明書(ミルシート)

環境負荷物質に対する保証書

(例)三価ユニクロ処理ねじ、三価クロメート処理ねじの成分分析結果報告書
RoHS指令有害6物質規制に対する保証書
表面処理材のMSDS(製品安全データシート) など

当社のISO9001認証登録書のコピー

製品の検査成績表

(包装箱に記載されているロットナンバーをお知らせ願います)

このほか、耐食試験結果報告書、製品試験結果報告書などをご用意することが出来ます。これらの資料をご希望の方は、最寄りの弊社営業所へお問合せください。

ヤマヒロ製品のJIS規格について

当社はJIS認証工場です。(規格番号:JIS B1124およびJIS B1125)
しかしながら、当ウェブサイトおよび当社製品総合カタログに記載されているすべての商品がJIS規格品ではありません。
現在在庫販売していますJIS規格品は、当ウェブサイト「JIS規格認証製品」に記載しています16アイテムのみです。(製品総合カタログは「JIS規格認証製品のご案内」に記載)
その他の製品はJIS規格品ではありませんが、JIS規格に準じた社内規格を遵守し製造しております。

該当するJIS規格番号(抜粋)

ドリルねじ:JIS B 1124 「タッピンねじのねじ山をもつドリルねじ」
とがり先ねじ:JIS B 1125 「ドリリングタッピンねじ」

三価クロムについて

近年、人の健康や環境に有害なおそれがある特定化学物質について規制する動きがおこり、ねじ製品ではめっき等に含まれている六価クロムが問題となっています。

六価クロムの有害性

六価クロムは、金属部品の防錆処理剤として広く利用され、特に亜鉛めっきの表面上に六価クロムによるクロメート処理を施した場合、その優れた耐食性の為、なくてはならないものとなっています。
ただし、クロメート処理品に含有する六価クロムが皮膚に長時間接触すると、アレルギーや発がん性の疑いが持たれるようになりました。さらに自動車や電子部品など廃棄物が酸性雨により皮膜中の六価クロムが溶融して土壌や地下水が汚染されると、生活循環により人体への悪影響が心配されるようになりました。その結果、自動車、電子部品、家電製品から六価クロム処理品を排除する動きがヨーロッパで起こり、日本においてもその対策が急がれるようになりました。

六価クロムから三価クロムへの転換

六価クロムのもっとも現実的な代替として環境に無害な三価クロムが登場しました。これまでは、処理液のコントロールの難しさ、高額な薬品代が普及を困難にしていましたが、表面処理メーカーとの試験トライアルの末、実施可能となりました。
当社ではジャックポイントのユニクロ、クロメート全製品を三価クロムに切換えました。今後、すべての製品を六価クロム等を含まない、環境に考慮したものに切換えていきます。
三価のクロメートについては、業界、JISなどで統一呼称、公式呼称がまだありません。言葉の間違いを防ぐ為、当社では右表の統一呼称を使っています。

ヤマヒロの統一呼称 意味 外観色 耐食性
三価クロム 三価のクロメート全般 - -
三価ユニクロ 三価のユニクロ
三価の光沢クロメート
従来のユニクロと同じ色合い 従来のユニクロと同等
三価クロメート 三価の有色クロメート シルバー色 従来のイエローと同等

※よくある紛らわしい呼称例です。製品を選ぶ際には意味を確認してください。

呼称 確認事項
三価クロム 当社の三価ユニクロか、三価クロメートか
三価クロムクロメート 当社の三価ユニクロか、三価クロメートか
三価クロム化成皮膜 当社の三価ユニクロか、三価クロメートか
三価ホワイト 当社の三価ユニクロか、三価クロメートか
三価クロムめっき 三価のクロムめっき、装飾用ねじなどに使用されます。
現在当社では扱っておりません。


安全許容荷重について

“安全許容荷重”とは使用する部材を定めたときにそれが安全に機能を果たすために許される最大の荷重です。具体的には、“安全許容荷重”は使用する部材の“破壊荷重”を考慮して定められなければなりません。
“破壊荷重”とは部材が破壊するときの荷重です。
“安全許容荷重”の大きさは“破壊荷重”より小さい値を用いますが、その理由は、使用部材のばらつき、荷重の見積の不正確さ、不連続部における荷重集中、使用環境の影響、施工の精度などを総合的に考えて決定されるからです。また“破壊荷重”と“安全許容荷重”の比を“安全率”といいます。
“破壊荷重”/“安全許容荷重”=“安全率“ 
言いかえると、設計段階では“安全許容荷重”は“安全許容荷重”=“破壊荷重”/“安全率“で求められます。あくまで参考としてですが“安全率“は通常3〜5がよく用いられます。

当社では、ご要求によりねじの"破壊荷重"(単体引張試験強度、単体せん断強度、単体ねじり強さ、引抜き保持力)のデータを提出致します。設計時の資料、施工時の資料としてお役立てください。詳しくは最寄りの弊社営業所へお問合せください。

ねじの緩みについて

ねじ止めした箇所に激しい振動が作用するとねじは緩んでしまいます。対策品として当社では、ねじの軸芯に接着剤を塗装した緩み止め(メック加工)ねじを用意しております。使用例として、人の往来が多い木製階段の踏板に使用される緩み止めねじなどがあります。
また、建築内外装の薄板用において、トルネードポイントは引抜保持力、せん断強度が高く、締結後の緩みが極端に少ないねじです。その理由は、トルネードポイントがドリル部で下穴を開ける方式でなく、鋼板を尖り先が直接押し広げるため、バーリング効果により鋼板とねじ谷部との間に高い摩擦力が生じていることによります。このような高い戻り止めトルク(プリベリングトルク)を有するトルネードポイントは、外力(振動、鋼板の伸び縮み)に対し、他のねじと比較して高い有効性があり経年による耐力も保持しえると考えます。

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